「そうね……処分としては次回の更新は一旦凍結、専属契約も白紙に戻させて頂きます」



「えっ………」



「正式に決まるまでは他のスタッフを派遣致します」



ちょ、ちょっと待ってくれ……
突然過ぎて頭が回らない。



「いずれ戻ってきますよね?」



何故すぐに答えないんだ……?
処分って紗和は何も悪い事してないじゃないか。
確かに最初に交わした契約には反している。
俺が破ってしまった。
悪いのは俺だ…!



「紗和を指名してくるクライアントがあとを絶たないんですよね〜だから返してもらいますね?」



「嫌です……僕は紗和さんと離れたくない…!だったら…もう一度言います。彼女を僕にください、彼女の人生を僕が買います」



「副社長……」



驚いて俺を見る紗和の手を握り必死になって繋ぎ止める。


「嫌だよ、紗和を失いたくない…」



「それでしたらこういったプランもあるんですよ〜」



違う契約書が出て来て目を通そうとしたらそれを紗和が止めた。



「やめてよお姉ちゃん、そういうのが嫌なの…!それに…買うとか、私はモノじゃない…!だったら、私が辞めます」



「え……?」


俺の方を向いて真っ直ぐ見据える瞳はもう覚悟をした後のようだった。



「私、秘書を辞めます」



何でそうなるんだよ……



俺の事好きになったって言ってくれたんじゃなかったのかよ?



そっと離れた手と手。
寄り添ってくれたはずの心が砂のように滑り落ちていく。



何でそんな落ち着いて言えんだよ……



俺の気持ちは無視か……?
訳わかんねぇ……



隣に居る今の紗和が一体何を考えているのか全く検討もつかない。



俺は………俺は………



認めねぇぞ。



絶対に認めない………