「橘建設のプレゼンを代行してほしい?何これ、プレゼンしろってこと?いいの?社運を他人に任せて」



ヨッシャ!とガッツポーズしたのを見逃さなかった私はもう一つの封筒に入っていた依頼内容を問いただした。
「ウサギの世話をしてほしいんだって」と悲しげに言う。




「ちょっと!断然そっちの方が良いじゃん!!」



「二択だったのに残念だね」



可愛く舌出したりとかいくら姉でも本気でムカつくんですけど……
しかも期日は一週間後って鬼かっ!
ギリギリで言ってくる会社も会社だな!
誰も出来る人居ないの!?



実際足を運んだ橘建設は中小企業で人が疎ら……
業績が傾いて何人か依願退職されたと。
次回のプレゼンが社運をかけた大仕事だそうで。
その担当者が入社2年目の金子さん………



「か、金子ツヨシですっ!」



ガリガリのひ弱やないかぃ!
完全に名前負けじゃん……
大丈夫?この会社。
社運がかかったプレゼンなんて大役、私には荷が重すぎるよ……


頭上に姉の顔が浮かび上がる。
「何が何でも成功させるのよ!弱気が一番ダメ!」と喝を入れられたんだった。
引きつる笑顔を直し決戦日まで時間の許す限り打ち合わせをした。
一応、会社の歴史なんかも頭に叩き込む。



会場の下見も済ませ後は精神統一のみ。
上手くいくかはわからないけど、金子さんはド緊張で泡を吹き出しそうなので何でも屋を頼ったのは賢明なのかも。