「こんな気持ち初めてなんだよ」
「お会いしたのって…あの時だけですよね?」
「いや……実は何度か通っちゃってて」
「え、会社にですか!?」
すごい執念………
モテる男は皆マメなのね。
また耳元で小さな声で言う。
「でもまだレンタル彼女だけの関係」
「あ、したんだ……」
意外……ガッポリ取ったんだろうな。
すみません、あなたは間違いなく姉のカモです。
好意を寄せてくれてるなら尚更上手く仕向けられてますね。
「どうしたらそれ以上の関係になれる?もう毎日頭から離れないんだよ……好き過ぎて辛い」
え、そんなに…?
これはかなりの重症なのでは…?
お姉ちゃん、ちょっと期待持たせ過ぎなんじゃない?
あの鉄の心を持った姉をなびかせるのはほぼ不可能に近い。
「紗和ちゃん、お願い……協力して?」
「えっと………」
「普通のデートだってしたいし本当の姿を知りたい。どんな事があっても受け止める」
どうしよう……私にすごい力説してきてる。
「好きな気持ち、止められないんだよ…!」
えっ…!?
勢い余って私の腕を掴んできた。
「ちょっと落ち着きましょうね?」
本人に伝えてください……
まずは作戦練らないと。
いや〜厄介だ。
「本気で手に入れたいって…思ってる」
この人……マジだ。
ジリジリと詰め寄ってくる堀越社長。
え、なに?
「紗和ちゃんお願い…俺の気持ちわかってくれるよね?」
「え?ちょっと待って!落ち着いてください…」

