代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉




パソコンのキーボードを打ちながらそっと佐伯さんに薬を差し出す。



「良かったらどうぞ。私も飲んでますけど結構効きますよ?」



「わ、ありがとうございます」



「お大事に」とキラースマイルでも浮かべたら……腸煮えくり返ってるんでしょ?
他の男に何やってんだ!って怒り狂う?



「このやり方覚えてれば今後も何かと役に立つので最初から教えますね?」



隣に立って丁寧に教えていく。
途中でマウスを握る手に間違って触れちゃって「ごめんなさい」と互いに照れた瞬間、内線が鳴る。
見るとまさかの私のデスクからでびっくりした。



顔を上げるとこちらに背を向けて内線してきてる副社長の姿が。
心なしか怒りで体が震えているようにも見える。
近くに居る先輩方も私達のやり取りをハラハラしながら見ていた。



すぐに内線に出る。



__はい、深山です



__副社長室まで来てくれ



声も僅かに震えてる。
あれ?やり過ぎた!?


__急用でしょうか?今すぐには手を離せなくて…



初めて反抗してみたらフロアに響き渡る声で「大至急だ!」と叫んだ。
バカ……反応し過ぎ。
ガチャン…!と受話器を投げ置いて立ち去る副社長。
子供じゃないんだから……



結局佐伯さんには急ぎ足で説明してダッシュで副社長室まで行く。
一体何やってんのよ。



いざ2人きりになれば不満爆発でお説教を喰らう私。
え、何この時間……無駄?



「二度とするな!わざとだろ!何で無視した!?」



あぁ……もう、うるさいなぁ。
ちょっと黙っててくんない?