代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉




会社に着くと少し周りの視線を浴びているような気がした。
先輩方に言われて初めて気付く。



「深山さん、1週間ぶりだもんね?いつもよりファッション決まってる〜キレイ…!」



ハ、ハァ…と苦笑いするしかない。



「第一声は何だったの〜!?」と勝手に盛り上がってるし。
やっぱりピンクは気合い入って見られるのかな?



「深山さん、ちょっといいですか?」



「はい」



良かった、逃れられる…!



「すみません、これは深山さんに助けてもらわないとって…」と話す男性社員の佐伯さんは、この春から部署移動してきたばかり。
パソコンの事だったから快く引き受けた。



システムエンジニアも少し担っている私はひと目見ただけで瞬時に事態を把握し且つ迅速に対応出来るけど…教えて差し上げましょう。



チラッと副社長がこっちを見てるのはわかってる。
フフフ、怒ってる怒ってる。
フン、昨日と今日のお返しよ。



「あれ?佐伯さん、風邪ですか?いつもより鼻声のような…」



「え?あ…花粉症です、すみません」



「大丈夫ですか?辛いですよね……あ、これ起動するまで少し待っててくださいね」



その場を離れ自分のデスクに戻る。
ヤバ、すっごく視線感じる…!
歩きながらチラッと目を合わせるも普通にスルーしてやった。
何か言いたそうだけどデスクの引き出しからあるモノを取り出してまた佐伯さんの元へ。



こんなにたくさんの社員さんが居る中で何も太刀打ち出来ないでしょ?
わざとやってるってわかってもらえればシメたもの。