__お疲れ様。帰りがけにそれだけ頼むな?早く帰ってゆっくりさせたいけど用事頼んでごめん、明日は会社に直行するわ
__お安い御用ですよ?明日、迎えに行きますね
__うん、じゃあこっちまだ仕事残ってるからもう一踏ん張りするよ
電話を切ってすぐに退社した。
時刻は夜の7時。
スペアキーとか何かソワソワしちゃう。
いつか……貰えたりして…?
ヤバ、考えただけで顔から火が出る…!
明日が待ち遠しい。
1週間だよ?
たった1週間会えなかっただけでこうもセンチメンタルになるのね。
1週間ぶりに会ったらどんな感じだろう?
でも毎日テレビ電話してるから顔は合わせてるんだけどね。
会社に来るからハグは出来ない。
いや、副社長室に入ったら…?
2人きりになったら…?
「会ったらキスしような」ってセリフが脳裏に蘇る。
ボッと顔が赤くなるのがわかった。
私、一人で何妄想してんのよ。
ましてや噂立てられてるのに2人きりになるのはマズイわ。
我慢、我慢………副社長出来るかな?
首を振って妄想を掻き消す。
久しぶりに訪れた副社長宅。
いつ見ても大豪邸だ。
玄関へ続く中庭もライトが散りばめられていて夜でも明るい。
不在中でもセキュリティでそうしてる訳だから私にとっては有り難い事だ。
玄関に着いたところで再び携帯が鳴る。
鍵は開けずにその場で出た。
声の主はさっきと同じ、副社長。
__着いた?今どこ?
心配してかけてきてくれたんだ……
__ちょうど今、玄関の前でこれから中に入ります

