気付けば車を走らせていた。
大丈夫、俺が潰れるわけにはいかないから幸い一滴も飲んでいなかった。
会ってくれないとわかっていてもちゃんと居場所を確認しておきたい。
信じてるけど、何か…血迷った行動起こしてたらと考えただけで居ても立ってもいられなかった。
普段あんなにしっかりしていて…常に冷静で居た紗和。
どんな時でも笑顔を絶やさないでいてくれたのに……俺が、消した。
一番近くで支えてくれていたのに。
一番失いたくないのに。
何度か鳴らした着信。
一度も出る事はなく不安だけが募っていく。
真夜中に着いた紗和のマンション前。
見上げると部屋の灯りがついていてホッとした。
良かった…帰ってる。
それだけでだいぶ心が楽になった。
泣いて……いるのか?
そこに行っちゃダメか?
触れちゃダメか?
ダメ……だよな。
今は我慢するから……ここに居る事だけは許してくれよな?
ここからで良いから……側に居る気で居させてくれ。
眺めているだけで良いから。
何もしないから。
近くに居させてくれ………
いつの間にか朝になり、車内でウトウトとしてしまっていた。
コンコン…!とノックされて飛び起きる。
ヤベ……駐禁か?と見たら大男が覗き込んでいたからゾッとした。
よく見たら紗和の飲み仲間の金髪だ。
確か、名前はレオ…だったか。
外に出るとまた抱きついてきた。
「ヤダ、いつから居たの〜?」
「あ……夜中の1時くらいから」
「インターホン鳴らせば良かったのに」

