ごもっとも……
頭を抱えながら「どうせ金持ちイケメンだからグラついたんでしょ?」だって。
いちいち癪に触ること言ってくれるね?
「金持ちイケメンじゃなくて、イケメンオスゴリラです」
「はぁ!?」
「あ、盛りのついた…イケメンオスゴリラですね」
「どっちでもいいわ!」
「すみません、そう言う私も盛りのついたメスゴリラなんで」
「あんた何言ってんの?意味わかんないんだけど」
しゃがんで目線を合わせる。
「私も負けないくらい好きですよ?誰にも渡したくないです…私も盛りついてるんで迷わず奪いますから」
真顔で言ったらすぐ目を逸らした。
「もう手に入れてるじゃない…余裕綽々でムカつくわ」
「余裕があったらあなたの様子なんて見に来てませんよ」
「フン、誰も頼んでないから」
「現在進行形の反抗期メスゴリラ…」
「はぁ!?あんたねぇ…!」
立ち上がり声を荒げたところを正面から抱きしめた。
「ちょっと…何すんのよ…!」
すぐ拗ねて一人になりたがる不器用さんにはこの手でいく。
このまま争ったって疲れるだけだから……
抵抗されてもそれ以上に包んであげたらバカらしくなってくるでしょ?
「ごめんなさい…響ちゃんだけは譲れない…私が幸せにするから」
その時、トイレのドアがノックされた。
「紗和…?大丈夫?」
外から副社長の声が聞こえた。

