「フェアじゃないのは関心しないなぁ?紗和ちゃん、そんな可愛い顔して小悪魔なんだね?」
慣れた手つきで頬に触れてくる堀越社長を本気で止めに入る副社長。
「触んじゃねぇよ!俺の女だって言ってんだよ」
ヤバ、また血が上ってる。
もうすぐ階に止まるのに。
何とか鎮めないと。
「俺ともキスしたよね?」
「え…っ!?」
思わず見上げる。
ニヤリと笑う堀越社長より先に副社長と目が合った。
嘘だろ?って顔してる。
「何ならその時の続き、しちゃう?」
グイッと迫ってきた堀越社長に沸々と怒りが沸いてくる。
顎クイしてきた瞬間、全力で体を押して阻止。
「よくそんな嘘つけますね…!」
クソ…!
こんな時の女の力は全然敵わない。
とにかく唇を守るべく下を向いた。
「おい、圭介。お前、本当に張っ倒すぞ」
クスクス笑う堀越社長はきっと副社長が怒るのを楽しんでる。
わざと気に障る事を仕掛けてきてるんだ。
私はそのダシってわけ?
冗談じゃない。
「ねぇ、どっちのキスが気持ち良かった?」
頭の中でブチッと何かが確かに切れた。
からかうにも程が過ぎる。
睨むように見上げるとより近付いて「マジでこの目好きだ」とかほざくから……
エレベーターが到着して扉が開くなんて、今の今まで気をつけていた事なのにすっかり頭から抜け落ちて……
扉が開くと同時に私の声はフロア全体にまで響き渡ってしまった。
「いい加減にしてよ!やってないってば!!…あっ……」

