「プリン屋さんですか?」
嘘だろ……こんな奴と紗和が飲んでるなんて………
まさか………男の影が潜んでいたなんて頭になかった。
だから……あれほどまでに一線を引いて……
俺………何しに来たんだよ。
「電話くれた人……ですよね?」
「はい……でもプリン屋じゃなくて」
顔を上げると俺より背が高いのもいちいち腹が立った。
「ヤダ……イケメン」
ん?こいつ今何て言った?
俺に言ったのか?
聞き間違いか?
俺より一回りデカい体格にも関わらず突然豹変する金髪野郎に唖然となる。
「じゃあお兄さんもしかして、紗和が今行ってる会社の人?イケメン過ぎる〜!一緒に飲まない?飲みましょう〜!!」
見た目100%ゴリゴリの男なのに中身オネエじゃねぇかっ!
ギャップについていけない……!
腕を組まれ強引に連れて行かれる。
力はやっぱり男で強い。
グイグイ引っ張られてオートロックを慣れた手つきで解除する。
な、705号室………インプット……!
痛い…引っ張る力強過ぎだろ。
エレベーター内の密室は耐え難いものがある。
肩に頭置いてきてんぞ。
完全にオネエに好かれてしまってる。
「わたし、レオって言うの。お兄さんは?」
わたしって言い出した……
さっきの図太い声はどうしたんだよ。
「響也……です」
「名前までイケメ〜ン!」
組んでる腕を締め付けられ痛い、痛いともがく。
まるで自分家のように玄関を開けて入って行く。

