手を合わせて小さくごちそうさまして立ち上がる紗和に。
「それ、俺だけにしろよ」
「え……」
「他の野郎にしたら…ていうかした事ある?」
皿を片付けながら立ち去る。
すかさずその後を追ってしまう俺。
今、何となく誤魔化された気がしたから。
「おい、どうなんだよ」
急かす俺は普通にカッコ悪い。
そんなの百も承知だけどこんな時はどうしようもなくガキになるんだ。
「し、してないって」
誤魔化してないか?
何か凄くモヤモヤする。
今、紗和が他の男を思い出してたら俺はさすがにヘコむ。
紗和の事になるとマジ器小せぇ……
明らかにテンション下がってる俺を見て不憫に思ったか、手を止めてこっちを見てくれた。
「してないよ、今日初めてした」
理性崩壊、5秒前……………
正面から抱きしめた俺にかなり動揺してる紗和。
「今のは無理…!お前ズルい……」
ピタリと動きが止まるから強く抱きしめてしまう。
口ではダメだと言いながらいつも俺に隙を与えてくる。
「俺の気持ち知っててそれは反則だろ……」
抱き寄せながら必死に整理つけてんだ。
頼むからこれ以上火つけないでくれ。
じゃないと俺は……
「ごめん……本当にごめん……」
体を離し謝ってくるけど顔見れねぇよ……
もしもここで約束破ったら……俺の事、軽蔑する……?
その時、寝室の方から携帯が鳴っている音が聞こえてきた。
タイミング悪い……
あれは間違いなく俺の携帯だ………

