代行秘書 ときどき レンタル彼女⁉




びっくりして思わず運転席の方を見て気付かれてないか確認する。
運転席側からは見えないようになってるんだった…焦ったぁ……



口が半開き……ぐっすりだね。
本当は……お酒弱いんでしょ?
すぐに止めたからそんな量は飲んでないはず。
なのに堀越社長より先に潰れてるんだもん。
負けるとわかっていながら何で受けて立つかな。



期待……させないでよ。
その真っすぐな気持ち……受け取りそうになる。
せっかくつけた決心が簡単にぐらついてしまうじゃない。



秘書としてずっと俺のそばに居ろって言ったくせに。
すぐに忘れて私を熱くする。
言っとくけど、周り誤魔化すの苦労してるんだからね?
あなたがもっと……副社長で居てくれなきゃ。
急に一人の男にならないで。



自宅に着いて起こすとフラフラだけど何とか肩を貸し、手伝ってもらいながら歩いて行く。



「うぅ、気持ち悪い」



「え?ウソ……」



とっさに紙袋を二重にして渡すも寝てしまう。
また手伝ってもらい寝室まで副社長を運んだ。



「どうしますか?自宅までお送りしましょうか?」と私に運転手さんは聞いてきた。
唸りながら眠る副社長をこのまま放っておけないのが本音。
もしもこの後容態が急変して急性アルコール中毒にでも陥ってしまってたら取り返しのつかない事になる。



「あ…すみません、もう少しこのまま容態を見てみます。あの、問題ないようならタクシー呼びますので、本当にここまでありがとうございました」



「いえ、こちらもこの後予約も入ってましたので代わりを呼ぶところでした。どうぞお大事に。ありがとうございました、失礼致します」