「仕事ではベストパートナーだけど、女に関しちゃ火と油な関係みたいだな」
案の定、副社長は怒り心頭のようだ。
それに対して堀越社長も引き下がらない姿勢を見せる。
「そうみたいだな。久しぶりに俺も本気モード出しちゃうわ」
お皿を渡しながら副社長に目で訴える。
喧嘩しちゃダメ……冷静になって……
「紗和ちゃん、今から男同士の話するから席外してくれる?ついでに仕事の話もあるし」
何か企んでいそうな雰囲気。
不安が過ぎる。
思わず副社長を見てしまう。
優しく微笑んで頷くから言われた通りその場を離れる事にした。
ヤバイ雰囲気になったら止めに入ろう。
気になって空腹感などすっかり忘れてしまっていた。
一人になったところですかさず秘書課の先輩方が一斉に集まってくる。
お皿に盛った食事を渡されお礼を言う。
あ、本当に言ってた通りのカラードレスだ。
一緒に食べながらやっぱり聞いてくる事はただひとつ。
「堀越社長にどこ連れ去られたの〜?映画みたいだった〜」
ですよね?
バッチリ見られてましたよね?
どうしよう、言い訳がすぐ思い付かない。
あっちも気になるし頭パンクしそう。
「羨ましすぎるトライアングルだよね?どっちに転んでもイケメ〜ン!」
「でも堀越社長の方に行ったら今の職場キツいよね?いっそ神戸製鉄に転職しちゃう?」
「そりゃ愛を取るでしょ。深山さん、いざという時は私達置いて行っていいからね?」
「でも、深山さん的には副社長だよね?」

