真っすぐ私を見る目はおちゃらけてくるいつもの目じゃなく真剣だった。
「あんな顔して見てたら妬けてくるんだけど?本気で奪いたくなる…」
ヤバ……顔に出てた!?
「ちょっと…!離してください」
体をよじって離れた。
ドレスコーデで至近距離はキツい。
目が笑ってないから多少なりとも恐怖心は芽生えてる。
「い、言いましたよね?2人とも興味ないって」
「あんな顔で見てたのに?そんな嘘、この俺が信じると思う?」
幸いロビーに人は居ない。
「経営者として尊敬はしています。もっと…上に行ける人間だと思うから…」
「俺も経営者なんだけど?しかも立場上だし……それでもアイツがいいの?俺の方が紗和ちゃんを幸せに出来る器はあると思うな」
「し、幸せになるかどうかは私が決めます」
「紗和ちゃんだってもっと上を目指せる人間だよ。頭は良いし気配りも完璧だ。アイツの秘書に留まるのは勿体ない」
前に来るので後退りしていたら壁側にまで追いやられてしまった。
「本気で知りたくなった、紗和ちゃんの事」
社長の手が頬に触れ思わず俯く。
目が合ったまんまじゃ何されるかわからない。
「俺じゃダメ?」
ヤバイ……めちゃ近くで声がする。
どうしよう、逃げ場がない。
顎を持ち上げられ再び視線が重なる。
「いいねぇ…その勝ち気な眼……悪いけど益々惚れちゃうよ?正直ここまでゾクゾクさせる女初めてなんだ」

