「どうも〜」なんて言いながら私にもウィンクしてくる彼女こそ、真の救世主と願いたい。
ツカツカとHIDAKA副社長の元へ行き名刺を差し出す。
名乗るの?名乗るのか!?
「初めまして、ALL ASSIST 代表の深山 乃亜〈Miyama Noa〉です」
普通に名乗ってる………
しかも寄りに寄ってその格好。
一体何の代行してたのよ。
お姉ちゃん………
「オール……アシスト…??」
名刺と姉を交互に眺めながら困惑気味の副社長達。
この混乱した事態をどう収拾するのだろうか。
「HIDAKAグループのような大手企業と、副社長のように実力もあり凄腕な方なら…一度仰った言動には勿論最後まで責任を持ちますよね?」
冷静さを取り戻した副社長は「勿論だ」と襟を正した。
「それでは先程仰った橘建設さんと今後も変わらぬ関係を継続して頂く事を前提にお話させて頂きます、宜しいですね?」
姉も堂々たる態度で前置きする。
私も知ってる、取り引きする時の真剣な目だ。
副社長も、隣の秘書と一瞬見合わせた後に了承した。
「ALL ASSIST とは彼女の所属する会社です」と私を隣に立たせる。
ピンときたのか安堵の笑みを浮かべる副社長。
「派遣会社だったのか〜、ではそちらと契約しよう」
「いえいえ、名刺だけだとそう思われますよね〜これからはちゃんと明記した名刺にしなくちゃね?紗和」
ひぇ〜!私に振るな〜!
ほら、豆鉄砲くらったみたいな顔して私達を見てるよ……

