「今日は、配属団決めだね。何処が良いとか希望ある?」
食事をしながらノテンが、私とその隣の同期シナヴィーニにことシーナ尋ねた。
シーナは、パンを手でちぎりながら食べようとしていたところでノテンの質問のために停止していた。
「俺は何処でもー。給料もらえんなら何でもいーや。」
シーナがあっけらかんとして答えた。
貴族がほとんどの騎士団で、シーナは珍しく平民、それも聞く限りかなり貧しい家の出身。弟妹のために公務員である騎士になったと言う苦労人だ。
「私は青の騎士団がいーかな。」
「「えっ!?」」
私が配属希望の騎士団を上げると二人とも驚いたように食いついてきた。
「お前…まじか。」
シーナが呆れた顔して言ってきた。
「やめなよレイ危ないよ、青の騎士団なんて。」
ノテンは、焦った顔で否定した。

ノテンが、止めるのも無理はない。
この王国には4つの騎士団がある。
主に王宮警備や、王族の警護に当る《赤の騎士団》
町の治安維持や国民の安全を守る《緑の騎士団》
諜報活動や周辺諸国へのスパイ活動に長けている《紫の騎士団》
そして、国境警備や北方民族の侵略から国を護る《青の騎士団》
つまり、青の騎士団は事実上最も危険な任務を背負う騎士団なのだ。

「レイは、お父上が赤の騎士団長なんだから赤の騎士団を希望すればいいのに。」
ノテンが、不服そうに言った。
「まぁ、決めるのは騎士団長様たちなんだから俺らがどうこう行っても仕方無いだろ。」
シーナは、興味が失せたのか再び食事を再開している。
「でも!最初に希望を聞くって!!」
食い下がるノテンを面倒くさそうにシーナは見据えた。
「だいたいレイは何で青の騎士団何かになりたいんだよ」
シーナがノテンから視線をそらして私に聞いてきた。
「騎士としての経験を積める。誰かが嫌がっても誰かがやらなきゃならない任務なら誰かがやるしかないじゃん?あと、王都を離れられるし」 
「もっともらしい事言ってますけど絶対最後のが本音でしょ!君は王都になんの恨みがあるんだい」
ノテンの言うとおり、最後のが本音だったり。
私の記憶が正しければ、ヒナコが聖女として現れるのは私が18歳の冬。つまり後一年を切ったのだ。

セトワール王子とは、そんなにって言うか一度しか会ってないのになぜかグタグタと婚約関係が続いてるし。私としては3年前に騎士になった時点でおじゃんになると予想してたんだけどなぜかそのまま継続になってしまっている。

早急に解消して頂きたい、いや、切実に。