日が昇り初めてから、私は牢から出してもらった。

このままやぐらのあるスーナンまで、族長とザビルス族のみんなの思いのこもった書状をもって馬でかける。おそらく、事の顛末を話せばヴィアーヌさんは激怒だろう。

昨日、族長と話した結果ザビルス族はクレシア国と和解し味方するが、当面表向きは、サルスーン帝国の動向を探るため関係はつかず離れずを保つ事にした。

要はスパイとなってもらうのだ。

族長も、帝王と手を結んだとはいえ彼らは自分たちを裏切るだろうと踏んでいたらしい。

「小娘。お前の勇気と強欲さに折れてやったのだから期待を裏切るなよ。」

族長に釘を刺される。

「はい。なんとかして見せます。みなさんと友人として未来を歩めるよう、結果を出します!!」

それでは、と挨拶をして私はスーナンへと戻った。

彼らは以外にも見送りをしてくれて、胸が踊った。

そして、踊っていたはずの胸はスーナンへつくと完全に別の意味で踊っていた。

目の前には何故か、氷の団長シアロン・ラジエータの姿があった。