私の解答が意外だったのか、テシ族長は目を見開いて私を見ている。

「小娘。ただの小娘であるお前にそんな事ができるのか?手紙を提出するだけならまだしも、認めさすなんて。こう言っちゃなんだが、クレシア国のお偉いさん方は頭が硬いぞ。」

どうやら、私が自信たっぷりなことに驚いているらしい。

「ただ、手紙を渡すより経緯を説明しながらのほうがわかりやすいと思いまして。族長の思いも伝えれますしね。こう見えても、私は公爵令嬢なんですよ。父は騎士団長だし、父の兄は国の宰相です。こういう時のための権力なんですからバンバン使っていかないと損ですよ。」

「これは、驚いた。まさか、令嬢だったとはな。全然見えなかったぞ。大体、なんでそんないいとこのお嬢様が騎士なんてやっとるんだ。」

テシ族長の興味をくすぐったのかやけに食いついてくる。

「これでも私は王子様の婚約者なんですよ。公にはしてないから殆どの人は知らないですけどね。それが、嫌で騎士になったら婚約破棄されるんじゃないかと思って騎士になったんです。」

「婚約破棄されたのか。」

「いいえ、公にされていない事だけが救いです。」

私とテシ族長は、しばらくの間二人で様々な会話をして夜明けを迎えた。