「日向ね…、覚えた。」

にこりと口角を上げて苗字を呼ばれ

体中の熱が全て頬に伝わってきた気がした。

ほんと、面食いってつらい。

「部活はなにやってんの?」

部活…やっぱり聞いてくるよね。

なんて答えればいいんだろう。

いじめられてやめました?はちょっと恥ずかしい。

「えっ…と…も、ともとバスケ部だったんですけど…」

「うん。」

相槌をうたれ、言葉に詰まる。

「や、めちゃって。」

へらっと笑いながら言うと先生はその後何も言わず

「俺は野球部だったんだよ。」

と話を変えてくれた。

少し胸がきゅっとした。


聞かれなくて、よかった。




「とりあえず、ここ(塾)の説明は終わりです。

では、日向さんの今の成績の状況を教えてください。」

げっ…。

そっか、塾だしそりゃあ成績聞くよな…。

お母さまどうか、どうか詳しい点数は言わないでくださ…

「この前、数学で6点取ってきました。」