ざり、とグレーのスウェットと擦れて音を立てる荒いコンクリートの壁に背中を預け、お尻には冷たいアスファルトの存在を感じながら空を仰いだ。


もう力が上手く入らなくて、ゆっくりと首を動かす。


にぶく瞼を瞬けば、夜空が見える。


どこまでも遠く冷たく澄んだ空気に透き通る夜空は、紺碧に染まりきっている。

白銀の星たちが、ダイヤモンドを削って散りばめたように、ちらちらとその空間の中で煌いていた。


そのど真ん中で、細くなって私を見下ろす月。


月になれたら、楽しいだろうなあ。
あんなに美しく輝ける。



「きみ、大丈夫?」