なるほど。つまり私は何もしていないんだね。
ほぼ一日を無駄に過ごしている。
昨日までの私、なんでもっと為になることをしないのか。
でも、施設長ものんびり過ごしなさいって言っていたし、
これでいいのかもしれない。
これまでの(といっても三日分)日記を読むと、
どうやら私は同じ行動をとっているみたいだ。
それならば今日の私も、
とりあえず同じ行動をとってみようか。
私は部屋を出て施設を出た。
庭には施設長がいて、
咲いている花々に水をやっているところだった。
「どこかに出かけるのかい?」
「ちょっと散歩に」
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
にっこり微笑まれて少し照れた。
私はノートを片手に、まずは左へ向かった。
ノートの記載によるとすぐそこに公園があって、
曲がり角までまっすぐだよね。
そこで右手に曲がって、蛙、蛙……。
あ、あれかな?
蛙と言っても本格的なものじゃなくて、
少しポップで可愛らしい蛙のオブジェだった。
私はその蛙の頭を撫でて、辺りを見渡した。
薬局があって、その向かいにはコンビニがある。
そのコンビニの隣に――これかな?
ログハウス風の洒落た建物が建っていた。
看板には「Vapore」と書かれている。
英語かな?でも、そのまま読むと確かに「ヴァポーレ」だ。
扉の横には可愛い小人の置物が置いてあって、
「ウェルカム」と書いてある。
私は扉を押して中に入った。


