初めまして、大好きな人



*

甲高いアラームの音で目が覚めた。


ぱっちりと目が覚めて、ゆっくりと起き上がる。


暑かったはずなのに、寒い。
急な温度変化にびっくりして、頭を振った。


次に異変に気付いたのは、この空間のことだった。


私はここを知らない。
どうして知らない部屋で寝ていたの?
お父さんとお母さんは?


立ち上がって、そっと扉を開ける。


長い廊下が続いていて、
しんと静まり返っているようだった。


廊下を歩いて、きょろきょろと辺りを見渡す。


見覚えのない場所。
一体何がどうなっているの?
何も分からない。



階段を下りると、音のする部屋があった。


覗いてみると、一人の男の人が
背中を向けて立っている。


キッチン?
冷蔵庫や調理台があって、
換気扇が回っている。


男の人は忙しなく行ったり来たりしていた。


「ん?波留ちゃん」


私に気付いた男の人は振り返った。


そこそこ年を取っているおじさんだった。


おじさんは眼鏡をかけ直して私を見ると、
にっこりと笑った。


「日記はもう読んだのかい?」


日記?そんなものあったっけ?
私の性格上日記なんてものは大体続かないはずなのに、
それでも私は日記を書いているっていうの?


何を言っているのか分からなくて黙っていると、
おじさんは火を止めて私に近づいてきた。


「部屋に戻って、日記を読んでおいで。
 青いノートだよ。
 それからここに来るといい。
 全部教えてあげよう。君の今の現状を」


「お父さんと、お母さんは?」


おじさんは静かに首を横に振った。


何?いないの?どこにいったの?
もしかして私、捨てられた?


「日記を読むんだ。全てはそこに、書いてあるから」