一目見て、太陽みたい、と思った。

「朝倉陽介です!よろしくお願いします!」

黒板の前で浮かべる笑顔が眩しくて、少し目を細める。

「朝倉の席はそこな、浅本の前だ」

担任が指さした私の方へ、クラス中の視線を一斉に浴びながら彼が近付いてくる。それをぼうっと眺めていると、彼が私の前の席に腰を下ろした。

ああ、そうか。
小学生の頃から嫌々守り続けてきた『出席番号1番』は、今日を持って卒業か。

そんな事を考えていると、ふいに彼が私の方へ振り向いた。ビクッと体が固まって、同時にひやりと背筋が冷たくなる。

「よろしく、浅本さん!」
「っ……」
「えーっと……浅本さん、で名前合ってるよね?」

『そうです、よろしくお願いします』
その一言が言いたいのに、出てこない。
しばらく間抜けに口を開けた後、私は諦めて口を閉じた。俯く。

「ねぇ、東京から来たってほんと?」
「あ、そうだよー」

そうやって私が項垂れている間にも、彼は他の人から質問攻めに合い始めて。

打てば響くようなテンポで会話をしている彼は、きっとそう遠くない内にクラスの中心人物になるんだろうな、という想像は難しくなかった。


高校2年の冬。
そんな中途半端な時期に転校してきた彼、朝倉陽介くんと出会ったのは、それが初めてだった。