言えなかった。

これすらも私には言わせてもらえないの……?
なんて運が悪いんだろう

「もしもし、紗良?どうしたの」

廉の声のトーンが変わって、優しい口調になった。
静かな子の空間では 紗良ちゃんの声がよく聴こえてきた

「えへへ、もしもし廉?突然悪いんだけど…明日ね、バーベキューに行きたいと思ってるんだ!!前みたいに 紗良と 廉と 侑希ちゃんと 昇くんで!!どうかな?」

途中まで愛しそうに目を細めながら聞いていたのに、私の名前が上がった瞬間 彼の顔はみるみる曇った。

「侑希…?」

いや、廉。いくら嫌だからって、そんなにあからさまに出さなくても良くない?

「え……」

「ねぇ廉 ダメ…かな?」

「…ううん。良いよ 行こっか?」

紗良ちゃんのお願いに弱いのか、本当に好きなのか 渋々受け入れた廉の返事。

「えぇ!!やったぁ!!じゃあ、明日の朝10時に 昇くんとそっちに行くね!!」

ワクワクしたように声が明るくなった紗良ちゃん。
その指示を聞いて廉は優しい口調のままわかったと言って電話は切れた。