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12月24日。
クリスマスイブはいつもよりご来店されるお客様が多い。

とても嬉しいことだけど、一緒に過ごす人がいない私にとっては少し寂しい。

「すみません。もう終わりですか?」

お店の看板を中に入れるために外に出ると、聞き慣れた声がした。

「今日は少し早めに閉めようかと……でも、まだ大丈夫ですよ」

「本当ですか? ありがとうございます」

急いで来たのか、彼の息が少し上がっているように感じた。

「ポインセチアをください」

「はい。只今、お包みいたしますね」

「……あの」

「はい?」

振り返ると、少し顔を赤くした彼が細長い箱を手にしていた。

「これ、よかったら貰ってください」

「え?」

「クリスマスプレゼント、です。いつもやさしく対応してくださるお礼です」

「お、お礼だなんて…仕事ですし」

「受け取ってください!」

そんなに強く言われたら……

「あ、ありがとうございます。開けてみてもいいですか?」

「はい」

箱を開けると、綺麗な花のチャームがついたペンダントが入っていた。

「わあ! すっごく素敵ですね!」

「貴女に似合うと思って…」

「本当にいただいてもいいんですか?」

「はい!」

「大切にしますね。あ、そうだ! 少し待っていてください」

私は急いで裏にある自宅に戻った。