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季節は変わり、数々の秋の花が店頭で綺麗に咲いていた。

「紫のパンジーはありますか?」

「少々お待ちください」

今日は珍しく色の指定付きだ。
紫が好きなのかな?

奥にあればいいけど……

「お待たせしました。こちらでよろしいですか?」

「はい。それをください」

彼は嬉しそうに微笑んだ。

「紫がお好きなんですか?」

「いえ、なんとなくです」

「そうなんですね」

店頭に並んでいない紫のパンジーを買うことに意味がないわけがない。

きっと何か理由があるはず。
でもそれは言えないことなのかも。

「ありがとうございました」

いつか教えてくれるかな……なんて、ね?