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梅雨が明け、日差しが一気に強くなる。
夏の到来。花の管理が大変な時期。

早く帰ってアイス食べたいな。

……そんなことを思いながらぼーっとしていたせいで、彼が来店していることに気がつかなかった。

「…大丈夫ですか?」

「あ、はい! すみません! お決まりでしょうか?」

「ひまわりをください」

夏らしい注文に思わず笑みがこぼれる。

ひまわりは私の1番好きな花。
だから、買ってくださる方がいると嬉しくなる。

「大切にしてあげてください」

「はい」

きっとあの方なら、最期まで綺麗に咲かせてくれるだろう。

彼の背中とひまわりを見送りながら、
ふと、そんなことを思った。