「昨年異動になってしまって、貴女に直接別れを言えず、ワスレナグサの花言葉に頼ってしまいました。またここに戻ってくることができたら言おうと心に決めていたんです。薔薇の力も借りたけど、1番は自分の言葉で…」

「……あなたの想いは十分伝わっています。とても嬉しいです」

今度は私の番。
彼に桃の花を差し出した。

「私の返事は、桃の花の花言葉です」

「……“私はあなたの虜”」

「はい」

「つまり…」

「よろしくお願いします」

そう言って微笑むと、ぎゅっと抱きしめられた。

「今、すごく幸せです!」

「私もです」

ふわりと桃の花の甘い香りがする。

その香りに包まれながら、

甘くやさしい口づけをした。