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言われた通りに月見野公園に行くと、彼はベンチに座っていた。

「どうしたんですか?」

「突然すみません。どうしても貴女と話がしたくて……あ、今更ですが、僕は藤宮 幸樹(ふじみや ゆき)です」

「華村 果梨(はなむら かりん)です」

藤宮さんの隣に静かに座った。


「……僕は貴女にずっと伝えたかったことがあるんです。あの写真と花言葉から気づいてはいると思うのですが…」

私の前にさっきの薔薇をスッと差し出して、私の目をまっすぐ見つめた。

そして、ゆっくりと口を開いた。

「僕はずっと、貴女のことが好きでした。付き合ってください!」

一本の薔薇の花言葉は……

「一目惚れ」

「え?」

「花言葉です。当たってますか?」

「はい。僕は貴女に一目惚れをして恋に落ちました。それからいろいろと花のことを調べて、花言葉を覚えました。貴女に振り向いて欲しくて…」

彼のやり方は遠回りだったかもしれないけど、全部ちゃんと私に届いている。