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年明け最初の営業日。
冬の花たちが綺麗に咲いている店内で、
一人黙々と作業を続ける私。

まだ1月だけど、私の中では2月なんです。
バレンタインに向けて、可愛いブーケを製作中。
今流行りのソープフラワー。

『カランカラン』

あ、お客様だ。

「いらっしゃいませ。今年もよろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします。ペンダント、つけてくださっているのですね。とてもお似合いです」

「ありがとうございます!」

「机の上のブーケは…」

「まだ1月ですけど、バレンタイン用のソープフラワーです。つい、夢中になってしまって…」

「手先が器用なんですね」

にっこりと笑った彼にドキドキしてしまう。

その気持ちがバレないように、すぐに顔を背けた。

「お、お一ついかがですか? まだ、試作品ですけど…」

「いいんですか? 嬉しいです!」

彼は子どもみたいにはしゃいでいた。


「…あ、すみません。本当に嬉しくて、つい……ピンクのコチョウランをください」

「いえ、大丈夫ですよ。コチョウランですね。お待ちください」

冷静に答えたつもりだけど、若干声がうわずってしまった。

紳士的でカッコいいのに、子どもみたいな一面もあるなんて……


「お待たせしました。ソープフラワーも一緒にお包みしました。直射日光は避けてくださいね」

「ありがとうございます。大切にします」

「ありがとうございました」

……本当にお花が好きなんだなぁ。

彼が帰った後もずっと、私の胸は高鳴ったままだった。