「え⁉ そ、そんなことできないよ! だってりゅうくんはオトモダチだもん!」

「アイツは君の事を友達だなんて思っていない! 忘れたのか、秋人君はあの男に散々バカにされてきたじゃないか! 今が復讐のチャンスなんだよ!」

「最初はそうだったけど、今はりゅうくんも僕のことをオトモダチだと思ってくれてるもん! それに僕は二人を守るって約束した! だから出来ない!」

「頼むよ……なあ、秋人くん……僕さえいればそれでいいだろう? 今度はちゃんと痛くないようにするから……秋人君も気持ちよくなれるようにちゃんと優しくするから……! だから頼む……ずっと僕の側にいてくれよ……!」


みっともなく涙を流しながら懇願する杉浦に、秋人はきっぱりと言った。


「イヤだ! もうイタイことはどうだっていいけど……りゅうくんやりんちゃんをイジメる様な人はここにいて欲しくない」

「そんな……! 秋人君まで僕を排除するっていうのかい⁉ 君に見捨てられて脱落するくらいなら、まだ竜崎新二にやられた方がマシだッ!」

「ごめんね。僕だって誰かを傷付けたくないけど、でも絶対に守るって約束したから。だから僕は杉浦君を――」


しかし……秋人が最後まで言い終える前に、『ペインター』先生が遮った。


「東雲。お前は本当にそれでいいのか?」

「先生……? どうしてそんなことを言うんですか?」

「まだ成績表が全員分開示されていない内から決めるのは早計だと思うが」


そう言って彼女はリモコンを取り出し、杉浦・新二・凛香・秋人の電気椅子を停止させる。


「特別にお前たち四人の席のタイマーを止める。その目でじっくりと順位表を最後まで見て自分のすべきことを良く考えろ」


そして『ペインター』先生は大きな紙筒を取り出すと、上位三名の成績表の隣にそれを貼り付け――勢いよく広げた。

上位から順に広げられていく様を、半信半疑のまま秋人、新二、凛香、杉浦が見つめる。

四位から二十五位までの名前と順位と点数が書かれた紙を、クラス全員の視線が左から順に移動し――そして一番右端で止まった。



【二十五位……十九点 夏宮凛香】