真っ白な教室に並ぶネームプレートの付いた机。

座っているのは白衣姿の少年少女。

好奇心旺盛に辺りをキョロキョロと見渡す者。

座ったまま俯いてブツブツとうわ言を呟く者。

考えることを放棄してただボーッと過ごす者。

それこそがこの世界を形成する分子だ。

ただの分子ではない。それは普通ではない原子で構成された異分子たち。

彼らの目を見れば分かる人には分かる。

狂気はない。憎悪もない。

怯懦もなければ絶望に染まってもいるわけでもない。

その目に映るのは、月明りの様に妖しく光る螺旋だ。

それは彼らを縛りつける鎖の様にも、壊れたメリーゴーランドの様にも見えた。


「全員席に着いているな」


静かなのに突き刺す様な、凛とした女性の声が教室に響く。


「今日からお前達はこの教室の生徒だ。これから一年間、私が指示したカリキュラムに従って普通とは異なる授業を受けてもらう。異論は認めない」


黒のスーツを身にまとい、黒髪を後ろで縛った細身の女教師は死神を彷彿とさせた。

無言の圧迫感に、何も知らない生徒たちは無力に押し黙る。

そんな中――


「ねえねえ、ここはどこなの? 壁や床が真っ白ですごく綺麗なのでここは天国なのかと僕は思います!」