『お前らさ、ぶっちゃけ付き合ってんの?』
急にとんでもない事をクラスのお調子者の男子が言った。
『へ?』
と、いくら、
いつも優等生を演じている私でも、こんな反応をしていまう程の言葉だった。
流石に思考が停止した。
一体何がどうやってそうゆう考えにたどり着いたのか、全くもって理解が出来なかった。
『んなわけないだろ?』
その思考を遮るように、彼の言葉は私の胸に刺さった。
何故かチクリと傷んだ。
そこまで全否定されるとは、思わなかっただけだと思うけれど。
『だって、俺達友達だからー!な?』
と、急に肩に手を置かれて話を振られる。
『うん、まぁ、そうだね』
と、返す。
友達としては、何の不思議も無い言葉の筈だった。
しかし、クラスのお調子者…いや、ゴシップ好きの記者は見逃さなかった。
『あれれ~?昨日までは、敬語で話してませんでしたかぁ~!?その、真意をお伝え願いたい!』
と、わざとらしい台詞じみた言葉の後に、マイク風に握られた筆箱を向けられた。
『えーと…友達なので問題は無い筈です』
と、本当の事を言う。
実際私が友達と認めたから、敬語を昨日で辞めたのだ。
嘘は全くついていない。
しかし、記者と言う者は、それでは引き下がる訳が無かった事に、この時の私は気付かなかった。
『違います!俺が聞きたいのは、何故、急に友達と認め、敬語を辞め、二人でラブラブなお姿で下校したのかについての真意を
お聞きしたいのです!!』
と、又、わざとらしい台詞じみた言葉で、私達を追い詰める。
『俺がアピールしまくって、少しだけ(なび)いてくれただけだもんねぇ?』
『ちょ!待っ!っ!?』
急に言いかけた言葉を海に口を塞がれて無理矢理飲み込まされる。
『そーゆー事だから、友達として認めてくれただけだからさまぁ、それで諦めるような俺じゃないから、記者サンは楽しみにしててよねー?』
『面白いスクープ待ってますよ~?』
『お楽しみにー』
そう、海が返すと満足したように男子は別のところへ行った。
その瞬間、『ぷはっ!!』と、急に手を口から離される。
『何すんのよ!!変な噂更に膨らませる気!?』
直ぐに膨らんだ怒りをぶつける。
『知花ちゃんが一人でさっきの男子に言葉を返したとしてさ、それよりは俺が返した今の方が、マシなんじゃないの?』
と、意地悪な笑みを浮かべられる。
『んなわけないでしょ!!馬鹿海!!』

この時の私は知らなかった。
これが、不器用な海なりの優しさだとは。