『ねぇ、知花ちゃん!そろそろ呼び捨てで呼んでくれても良いんじゃない?』
そう、言ってきたのは、それから二週間後の事だった。
『いえ、失礼に値するので、海さんと呼ばせて頂きます。』
と、丁重にいつも通りの笑顔でお断りする。
『えー!本当、知花ちゃんだけは、連れないなぁ…』
と、わざとらしく肩を竦められる。
『て言うか敬語も止めてよー!何か距離を感じるしさぁ!!』
と、更にねだられる。しかし、此処で受け入れてしまえば、調子に乗って更にねだられるに違いない。
『何故なら只の同級生ですから』
と、更に突き放す。すると、海さんは
『じゃあ、只の同級生から、進歩すれば良いんだよな!!』
と、急にとんでもない事を言い出す。
『え!?えぇ…まぁ…はい、そう…なります。…かね?』
ちょっとひいたけれど、まぁ、無理だろうから、私は敢えて、諦めるまで待つ事にした。

『ねぇ!!どういう人を知花ちゃんは、友達と見なすの?』
と、聞いてきた。まあ、想定内の行動だ。
『友達とは、信頼が無ければ成り立たない物だと思います。なので、突然迫ってくる人を友達とは、見なせませんよ?』
と、更に突き放す。
そろそろ、諦めるだろう。
そう、思ったその時、まさかの答えが返ってきた。
『あ、そっか!俺が友達と思えば良っか!』
流石に驚きより怒りが勝った。
『んな!勝手な!!』
私は少し声に怒りを滲ませた。
『あ、今、敬語止めた?』
そう言われた私は、今度は呆気にとられ、硬直した。
『何その反応~!知花ちゃんって面白いね!』
と、言われて流石にうんざりした私は、
『すみません!これから本を読むので、これ以上話し掛けないで下さい』
と、言って、本を読む事にした。
結局全然本の内容は頭に入って来なかったけれど。