香奈は彼の部屋を訪ねた。

主人のいなくなった部屋の中央で、ボーリングの玉は真っ白に漂白された布をちょこんとのせて、黒く光っていた。


それを見て、無表情だった香奈の顔が次第に歪み、徐々に涙が流れ出した。

涙の筋はどんどん太くなり、やがてしゃくりを上げながら、香奈はようやく、大声で泣いた。