「きれー」

星空を見上げてはしゃぐ香奈。

満天の星空の下。

ふたりは川沿いの土手を歩いていた。

星空に手を伸ばす香奈を、優しく見守る彼。

両手にはもちろん、玉が大事そうに抱えられている。

「うん、きれいだね」

「ね、聞いていいかな」

「なにを?」

香奈は少しためらったあと、

「何でかなって思って」

「なにが?」

「何であなたは、人類を救おうと思ったの?」

「人類を救うっていうか……
 苦しんでいる人を、見て見ぬふりできなかっただけだよ。
 で、自分にできることは何か考えたんだ」

「それだけ?」

「んーどうだろ。
 言葉で言うのは難しいな」

「でも、あなたじゃなくったっていいじゃない」

「? どういうこと」

「なんであなたが、そこまでしなくちゃなんないのかって。
 だって、あなたはみんなを救おうとしてるけど、そのみんながあなたのこと陰でどう言ってるか、知ってるの?」