「…ん~…っ」

目を醒ました美結は、自分の目を擦り…、開いた瞳で、いまの現状を理解しようとする…

「あ、起きた…?」

自分の顔をのぞき込む…律と視線がぶつかり…、耳元まで紅潮させる…

「ヤダ、ずっと見てたの?」

「うん。これが現実だよな~…って」

「もぅ、恥ずかしいから…」

シーツを鼻先まで引っ張り、顔を隠す美結…

その、美結の身体を抱きすくめ…その頬にキスをした…



「さっきね、ヘンな夢…見た」

律は、美結の身体を背後から抱き締めていた…

「…夢…?」

美結は、律の方に顔を向けながら…

「…夢…って、言うか…妙にリアルな。
着物着て…、お寺の階段を登って行ったら…西園寺くんとご家族かな? ご両親みたいな人と…お姉さんがいて…黒いスーツ? 喪服着てて…
誰も気づかないのに…あたしに、気づいてくれたの! でも、不思議なの…身体は透けてたから…だから、誰も気づかなかったはずなのに…
ね、不思議な夢でしょ?」

その、美結の言葉に…

律は、微かに動揺が隠せなかった…

「…なんだ…、そういうこと…?」

と、独り言のように呟く…

「…なに…?」

「なんでもない…」

「も~、また教えてくれない…」

頬を膨らませる美結…、律のその美結の顎先を引き寄せ…口付けを交わした…

「…あとで、説明するから…」
《あの日…、あの夏の日に…

ひと目で好きになった人は、彼女だったんだ…


彼女が…、三枝が…自分の守護となったリアの力を借りて…、

過去に精神だけ…タイムリープし、過去の自分に逢いに来ていた…

言われてみれば…、三枝と付き合うようになった後から、あの着物姿の彼女は現れなくなっていた…


この話を…、彼女は信じてくれるのだろうか…?


まぁ…、話す時間は、まだ…たくさんある…》


律は、美結の身体をきゅ…っと抱き締め…

その耳元に…

「君が…、俺のことを想ってくれていたの…、よく、分かった…」

その言葉に…彼女は、緩ゆかに、穏やかに…微笑んだ…




―Fin―