「……っ」
《ここは…――?》


目を覚ました美結…、見慣れない天井…。薄暗い部屋…に、身体を起こした…

その自分の手を、握りしめている人の感覚…傍にあったベッドライトをつける…


ベッドの枕元に、美結の手を握りしめたまま…うたた寝している…

「…西園寺くん…」
《ずっと、傍にいてくれてたの…?》

と、その律の頬に手を触れる…


「……っ」
《あたしが…、側にいたら…

西園寺くんは、ずっと、気遣って…心配してくれる…

いつも、気にかけ…、優しくしてくれる…

でも…、それで、いいの?

何か、仕方なく…傍にいてくれてるみたい…っ》

【それは、美結のことが好きだからじゃないの?】


自分の想いを…、見透かすような…声に…。。美結は、大きくため息をついた…

「…私は、強くなりたいの…
貴女のように…」

そぅ…、独り言のように呟いた美結…

その声に、うたた寝していたはずの律が、パッと目を覚ました…

「…あ、三枝、大丈夫?」

「あ、…うん…。もぅ…、大丈夫…」

そぅ…、すぐ様…律から視線を逸らした…

「あのさ…、も…、修学旅行、止めて…帰ろうか?」

その、唐突…とも取れる律の言葉に、美結は、律に視線を戻す…

「っえ…? どうして…っ?」

「…こんな状態じゃ、修学旅行どころじゃないだろ? いつ、また…こんな風になるか…分からないし…」

そぅ言っている律の後ろに…、美結の瞳には、もう1人の男性の姿が見えた…

それは、美結の中にいる…彼女が言っている人なのだろうか…?

彼女が見せているのか…――?

「……っ」

【お前は、俺にとっては、ただの女としての道具でしかない。
いくら、子を孕んでも…俺の世継ぎではないからな…】

【この子は、貴方のお子なのに…】

そぅ…、自分を睨みつけるような視線を向ける…その男性の冷ややかな声…


これは、過去に…女性がその男性に受けた言葉…だろうか…?


そして…――

その男性の影は、美結に冷ややかな口付けを…、それが義務でもあるかのように…

「……っ」
《これは、彼女が、昔の西園寺くんに受けた…記憶…っ?》

【…処刑しろ…】

【貴方は、私の子を奪い…、私の人生の全てを奪っておいて…っ!
人ではないゎ…! 許さない!】

あの、遊園地で見た…玉座に座る男性…

数段下の紅い絨毯の上に、両脇を騎士のような護衛に取り押さえられている…銀色の髪の女性…


「……!」

その、夢なのか…現実なのか…、分からない現状に…

美結の瞳から、ボロボロと涙がつたい落ちた…

「三枝、どうした…?」

その、律の声に…我に返る…