「…っ!」
《…このまま…、死ぬのか…?

このまま…っ!


それが、リアの希み…?

それならば…っ》

仕方ない…と、諦め…、律は、両手の力を緩めた…

次第に、その締め上げられた手が解かれた…


酸欠状態になった律が、2・3度、咳き込み…呼吸を整える…

そして…


その頬に、微かな温もりを感じた…

美結の身体の中に入った彼女が、その頬に指先を這わせていた…

『…愛してる…。律…
貴方を、殺したいワケじゃない…』

その声に、美結の方に視線を向ける…

「……っ」

呼吸を整えながら…

「…後悔していた…
君を失って…。どうして、あんな事をしてしまったのか?
その後の人生は、決して…幸せじゃなかった…」

これは…、昔の記憶…

生まれる前の…幾代か前の自分が…、泣いている…

「…失って…、初めて気づいた…
…愛していたんだ…
それなのに…っ!」

その涙に…

『…律…、泣かないで…
貴方は、気高くて…、自尊心も強い人…』

そぅ…、それまでとは打って変わって…、優しげな…その女性の声…

律は、美結の身体を借りた…その女性の方を見つめる…

「…リア…、許されるワケはないことは分かってる…
それでも…、許して欲しい…」

『…分かってる…。…もぅ…、貴方に会えたら…許すも、許さない…も、ないわ…っ』

そぅ、まるで…慈しむかのように…優しく言う言葉…

「……っ」

どちらからともなく…、口付けを交わした…

最初は、軽く触れる程度だった唇…

次第に、互いに求め合うように…唇を重ねた…