『へー、付き合うことになったんだ。おめでと~』

その、電話口の声に、半ば…呆れた…

「【おめでと~】じゃねーよ! ハメやがって…」

と、悪態をついた…。


その日の夜、ファミレスで2人だけにし帰宅した悠斗は、律と美結がどうなったのか…気になり、電話を掛けてきたのであった…


『でも…、話してみると…可愛いだろ~?』


そぅ、言われ…否定出来ない自分もいるのも事実…だった…


あの後、ファミレスには約2時間もいて、夕食まで食べ…それまで彼女のことを避けていたはずだったのに、それが何も無かったかのように話をすることが出来たからだ…


「まぁ…、そぅだな…っ」
《話してみると…、割と…人に気を遣うことが出来る子だと気がついた…》

『じゃ~、俺、キューピット?』

そぅ、冗談混じりに笑い声を上げ、言った悠斗の言葉に…

「…堕天使の間違いじゃね?」
《1つ…、気がついたことがあるもすれば…

人を、その人が持っている色で全てを判断しては良くない…って、事だよな?》


律は、悠斗からの電話を切り…、先程まで一緒にいた美結のことを思い出していた…



ファミレスで、美結と話をし…彼女の家の近くまで送る…と、自分から言い出していたのだ…

「でも、家、反対方向じゃない?」

さすが…、律のことを調べ尽くしている彼女のことだ…

律の家が、自分の家と真逆の方向にあることを調べていた…

「ん~、でも、遅くなったしさ…」

「ありがとう! 西園寺くん、優しいよね?」

そぅ、満面の笑顔を向ける…素直な彼女を、可愛いと思うのは、当然のことだ…

その、素直な瞳を、傷つけないようにしたい…と、本当にそぅ思った…


ふ…っと、自分の手を見つめる…

「……っ」
《人とは、違う自分を…

気づかれないように…っ》