バスを待っている時間

お喋りの明が珍しく無言だった。


「明?」


私は明の顔を覗いた瞬間

明が手を繋いできた。


「へ!」


あまりの唐突に思わず

バカみたいなマヌケ声が出た。


「帰るまで

家に送るまで…

こう…させて」


私と目を合わせずに照れたように言う明。

別にこんな事…

いつでも

どこでも…って言うのは流石に無理か

私が耐えきれない。



でも…

明にならいい。



明の言葉を返すように

私は明に繋がれた手を握り返した。

明は握り返した手を見てやっと目を合わせた。

私達は微笑み、丁度バスが来て

手を繋いだまま乗り込んだ。