切なく 恋しく もう一度

いつもと同じ朝。でもなぜかソワソワして早くに目が覚めてしまった。
(もう朝か…なんだか今日は行きたくないな…)
いつも通り準備をして階段を降りた。
「お母さんおはよう」
「あら珍しい自分で起きてくるなんて」
「おお、朝美紗を見たのは久々だなあ、いつも起きるの遅いからなあ」
「お母さんお父さんおはよう、それはお父さんがお仕事出るの早いだけでしょ」
少し頬をふくらませて言うとお父さんは笑った。
「モナカ〜おはよ〜」
モナカは目をキラキラさせながらしっぽをふった。
「美紗ーご飯できたわよ!」
「はーい!」
ご飯を食べて歯を磨いて髪を整えた。
「じゃあ行ってくるね!」
「はーい!いってらっしゃーい!」

「拓斗!おはよ!」
「お前今日早いな!珍しい」
「お母さんと一緒の事言わないでよ〜」
いつもと同じように2人で笑いながら登校した。
全てがいつもと変わらない日常で、私はこれから起こることを予想もしてなかった。

「じゃあね拓斗!また帰り!」
「おう!」
棟もクラスも違う拓斗とわかれ、教室に向かった。
ガラ…
「…あれ?」
(珍しいな、絵里の周りに男子がいないなんて)
「おはよう絵里!」
「あ…美紗、おはよ」
「どしたの、元気ないね…」
「美紗あんまり私に話しかけない方がいい。」
「え、どうし…」
「あっれー友達いたんだー!影薄すぎて知らなかったわー」
数人の女子達が私達の元に集まってきていた。
「あ、あの…?」
「あんた名前なんだっけ〜まぁどおでもいっか〜、ねえあんたそこのゴミ箱見てきて」
「え?」
「はやくしてくれる?」
その子達のリーダー的な子に促された通り私は教卓の横に置いてあるゴミ箱を見た。
「なにこれ…」
そこにはビリビリにさかれた松本と書かれた上靴があった。
「あっはっははははは!!!お腹いった!!!面白すぎんだけど!!!!!」
「絵里!!!!!!」
絵里はひたすら黙って下を向いていた。
「なんで…こんなことするんですか…」
「は?そんなこともわかんないの、気に食わないのこいつが。男子に媚びばっか売ってキモすぎんだよ。潤だって彼女いたのにこんなやつの為に別れてさ〜どーせこいつが色目使ったんだろうけど」
そう言ってその子は絵里の髪を引っ張った
「ちょっと!!や、やめてください」
「ふっ…友達ごっこ?ちょーうける、あんたここでこいつを助けたらあんたがどうなるかはわかるでしょ?」
その子は不敵な笑みを浮かべてそう言った
「美紗は、何にも悪くない。その子には手を出さないで」
「絵里!!」
「美紗も口出ししないで、私の心配はしないでいいから」
絵里の声は震えていた。何もしてあげられない自分に腹が立った。

その日から絵里へのいじめが始まった
授業中でもわざと先生の注意が絵里に向くように仕向けたり、体操服を破いたり、上靴に画鋲を入れたり、帰り道着いてこられて暴言を吐かれたり、それは卑劣なものばかりだった。
私も絵里も我慢の限界だった。