ピピピピピ…
「美紗ーー!!起きなさいーー!いつまで寝てるのー!!拓斗くん来るわよ!」
「んん…はあい…」
今日から高校2年生
しぶしぶ重たい体を起こし、久しぶりの制服に腕を通す。
(初めて着た時はあんなに違和感でしかなかったのになあ〜)
そんなことを思いながら急いで準備をする。
部屋を出ようとすると、
「おーーーい!美紗ーー」
外から声が聞こえ、覗いてみるとそこには彼氏の白石拓斗の姿があった。
「拓斗!おはよう〜今日は早いんだね〜」
「は?何言ってんの〜?時計みてみろよ〜」
そう言われて時計に目をやるといつも学校に行く時間より10分以上も進んだ位置に針が向いていた。
「え?!なんで!?ごめん拓斗!!10分、いや5分待って!」
と言って急いで階段を駆け下りた。
「お母さんなんでもっとはやく起こしてくれないのー!!」
「いっぱい起こしたわよ!!美紗が起きなかったんでしょ!全くもう、ごはんは?」
「いらない!拓斗がもう来てるの!!」
「ほんっと今日から2年生なのになんでそんななの。もっとしっかりしなさいよ…だらしないんだから、情けない…」
お母さんの小言を聞き流し、急いで顔を洗って歯を磨いて長い髪を適当にといた。
わんわん!!
足にへばりついてくるのは1年前にうちにやってきたまだ小さいトイプードルのモナカ。
「モナカ!急いでいるからごめんね!帰ったら遊んであげるからね!」
くぅーん
(あーーーかわいすぎるーー)
栗色のくるんくるんのしっぽをひたすらふる愛犬の姿が愛らしくてたまらなかった。
「じゃあ行ってきまーす!」
「はいはい、気をつけてね」

「拓斗ごめんーお待たせ…」
「おう、早く行くぞ!後ろ乗れ」

拓斗とは高校入って席が隣になったことがきっかけで仲良くなった。話が合うとこや気を使わないでいい所、どんなつまらない話でもちゃんと聞いてくれるそんな拓斗のことがわたしは好きになった。
そんなとき拓斗の方から告白されて付き合うことになった。私は拓斗がだいすきだ。

「おい着いたぞ!」
「あ、もう着いたんだ!考え事してた!」
「クラスまた一緒がいいな」
「ほんとだね!」
拓斗と話しながらクラス替えの掲示板を見に行った。
「拓斗〜見えた〜?」
人だかりのせいで背伸びをしてみても背の小さい私からは掲示板の文字が見えなかった
「お前小さいんだからどう頑張っても見えねぇよ」
「うるさいなあ」
しばらく待っていると、
「あ、」
「え!なに?見えた?!」
「うん。」
「どう?一緒…?」
どきどきしながら聞いてみる
「いや、真逆…クラスも違うし棟も違う…美紗1組で俺が4組、あんまり会えなくなるな…」
「ええええ!!嫌だよーー拓斗ーーー!」
最悪だ、あんまり友達も多くない私には拓斗とクラスが違うのはかなりダメージが大きい…
「…まって、絵里は…ねぇ絵里とは一緒だよね!?そうだよねえ!?」
「美紗ーーー美紗ーー!」
前の人だかりの中から私を呼ぶ聞き慣れた声が聞こえた。
「絵里ーーーー!おはよお!!」
「美紗みた?!クラス!!」
「拓斗と違ったんだよ…」
「え、そうなの?!残念だね…でも大丈夫、私がいるさ!」
「え?!絵里一緒?!ほんと!?嬉しい!」
「なんだよ、俺はもういいのかよ〜」
「えへへ拓斗寂しいでしょ〜絵里と一緒でよかった〜でも逢いに行くからね」
「白石くんごめんね美紗と一緒で〜」
絵里も嬉しそうに笑った。
この子は松本絵里。高校に入ってから仲良くなった子だ。私が唯一心許せる女の子。昔から人付き合いが苦手で教室でも1人でいた私に声をかけてくれた時から私の中でずっと絵里だけが親友だった。
「でもさ〜ほんと羨ましいよ2人が、クラス違っても同じ学年で同じ学校だから修学旅行とかも一緒に行けるし…」
「絵里の彼氏さんは先輩だもんね…」
絵里には幼なじみの彼氏がいる。ずっと片想いだったけど3年前についに実ったみたい。
(あの時の絵里の嬉しそうな顔可愛かったなぁ)
私は1回も見たことがなくてどんな人なのかよく分からないけど絵里が彼氏さんの話をする時はいつも幸せそうだからきっと優しい人なんだと思う。
「そう…今年受験生だからもっと会う時間も減っちゃうし…まぁとりあえず美紗と同じクラスでよかった!!」
「そろそろ行くか!じゃあ美紗帰り教室行くから」
「うん、拓斗寂しすぎて泣かないんだよ〜」
「うっせ」
照れて笑う拓斗に手を振って私達も教室に向かった