すると、その鮮やかな緑玉の瞳の先に、あのクスティリン族の女魔法使いマイレイが、透き通るような銀色の髪を夕闇の風に揺らしながら、妖艶な唇で愉快そうに微笑していたのである。

「流石と言うべきか・・・?そなた、やはり腕は確かなようだな?」

「別に・・・生きるために、自然に身に着いただけの話だ・・・」

彼は鋭い表情のまま、鞘に納めた金色の大剣を広い肩に担ぐようにして、艶やかに微笑むマイレイの銀水晶の瞳を真っ直ぐに見た。

燃え盛る緑の炎の如き鮮やかなその眼差しが、今、マイレイの銀水晶の瞳を囚らえている。

この眼差しに囚らえられた者は、その運命すら変えられてしまうと言われる、異形と呼ばれる、鮮やかで美しい緑玉の瞳・・・

マイレイは、その視線を反らすことなく、彼の持つ魔性の眼差しを静かに受けとめながら、穏やかで落ち着いた口調で言うのであった。

「そなた、これから何処へ行く?」
「国に・・・リタ・メタリカに戻るだけだ・・・厄介事が起こったと、風の精霊が言っていた」

彼は、相も変わらずぶっきらぼうな口調でそう答えて言った。

そんな彼の端正な顔に、ふと、鋭利な刃の如き陰が落ちる。

それに気がつきながらも、落着き払った口調で、マイレイは、静かに言葉を続けたのだた。

「一つの肉体と一つの魂が・・・二つの肉体と三つの魂となった・・・そなたは・・・・やはり・・・・」

「・・・・詮索はするなと、言ったはずだ」

吹き付ける冷たい風に揺れる、その見事な栗色の髪。

その前髪の下で、彼の緑玉の瞳がにわかに鋭くに細められる。