「茜」

それが僕が初めて見たいと思った色だった。



僕は生まれつき色が見えなかった。

周りのみんなが綺麗だとはやし立てる、春に舞う桜色も、僕にとっては目の前をチラつく邪魔な障害にしかなりえなかった。

だけど「君の色」だけは、





見えない事で初めて涙がでたんだ。