清々しい、晴れた朝。
間もなく朝稽古が始まる時分だ。



瑠璃は一人、井戸にいた。


汲み上げたばかりの桶の水で濡れたその手は、無数のまめがつぶれ、皮膚が硬くなっている。

胴着から覗く白い肌には無数の青アザができ、稽古の厳しさを物語っていた。





と、そこへ、壬生浪士組二番隊組長である、永倉新八がやってきた。


「おはよ、瑠璃ー!
お前、もう稽古してんのか?」


彼は朝稽古前で、すでに胴着に着替えている。




「永倉先生!
おはようございます!
先生は朝稽古ですよね。
ご苦労様です!」




明るい笑顔で答える瑠璃。
しかし、着物の下のアザを見つけると、永倉は顔を歪めた。




「?…
どうされました?」



「…いや、なんでもない。
頑張れよー!」


「わわっ!」


怪訝そうに見上げる瑠璃の頭を、笑いながらくしゃくしゃとなでると、永倉は朝稽古をしに道場へ向かった。