「壬生……浪士組?」





『壬生浪士組』と刻まれた看板を付ける男がいた。
彼は、後の世にその名を残す、近藤勇。後の新選組局長である。




そしてもう二人、黙って笑う男、それを嬉しそうに眺めて無邪気に笑う青年。





「そうだ、これからわしらの名乗る名だ!」



腰に手を添え、嬉しそうにそういう近藤。



「ここまで来るのには、
いろいろあったな………」





しみじみとこれまでのことを思い出すかのように、キセルを片手に、ついさっき建ったばかりの看板をしばらくの間眺める男、土方歳三。

彼もまた、後の世に語り継がれる名の主である。









青く晴れ渡った空の下。





彼らはただただ黙って看板にそれぞれの思いを馳せる。