「…っごめん遅くなって。」


離れて頭を下げた玲央は
まだ春なのに額には
汗が滲んでいた。


「走ってきたの…?」


「走ったってか、チャリだけど…。」


上がった息を整えてそう答えた。


チャリって…。


学校からここまでは
結構な距離がある。


私より後に出て
同じ時間に着くって
驚異の身体能力…。


と、玲央に驚いていると
周りからの視線を感じた。


それもそのはず。


ごく一般の普通の容姿の私に
金髪のイケメン君が
駅のど真ん中で頭を下げているんだから。


私はその視線に気付いて
慌てて玲央の体を起こした。


「と、とりあえず
場所移動しよう!」