私の専属王子は金髪君

すれ違う
幸せそうに笑い合うカップルを
直視出来ないのはなんでだろう。


昨日まで、
こんな感情なんて
持ってなかったのに。
玲央に会った今日の私は変だ。


懐かしくなったり
嬉しくなったり
苦しくなったり…。


色んな感情がありすぎて
疲れたから早く帰って
お風呂にでも入ろう。
そう思って一歩踏み出した時


「…っ凛!」


一瞬空耳だと思った。
だけど振り返れば
そこにいるはずもない
私と同じ高校の制服を着た
綺麗に光る金色の髪の男の子が立っていた。


「玲央…。」


見間違いでも
幻覚でもない。


間違いなく玲央本人。
私を抱きしめた彼からは
朝と同じムスクの香りがした。