私の専属王子は金髪君

この映画の世界観に
見事にハマってしまった私は
女の子に感情移入して
嬉しくて笑ったり
悲しくて涙を堪えたりした。


そんなこんなで
映画が始まる前の出来事は
薄情かもしれないけど
頭の片隅に追いやられ、
だけど素直にお礼を言ってから
映画の感想を語る方に
気持ちが持って行かれた。


次から次へと
このシーンはどうだったとか
あの時の女の子の気持ちが
辛いけど分かるとか
一方的に話す私を
玲央は楽しそうに相槌を打ちながら
聞いてくれた。


歩きながら話していた私は
目的のカフェの前まで来て
やっと我に返った。


「ごめん!
1人でずっと喋ってて…。」


今日は玲央を楽しませるつもりだったのに
完全に私の方が
楽しんでしまっている。